テキストサイズ

FREE BIRD

第29章 ライオンになり損ねた

「来て…」


僕は美穂さんの手首を掴んだまま、僕の側へ促した。


美穂さんは立ち上がり、僕の横に移動した。


「僕はあなたをもっと愛したい。僕の指だけでなく僕の全部を感じて欲しい」


そのまま手首を引き寄せ抱き締めた。


華奢な美穂さんが僕の胸にスッポリ収まり、か弱く頼りない彼女をこの時程守りたいと思ったことはなかった。


だけど美穂さんは既に守るご主人がいて、また僕も守るべき家族が存在する。


分かってる。


分かってるよ…


だからその気持ちをグッと飲み込み代わりに強く抱き締めた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ