妖艶怪
第5章 第5章
―…
ふと目覚める。
気づいたら眠ってたみたい。
隣で裸のユーヤが
ぐっすり眠ってる。
綺麗な寝顔…。
急にお腹が痛くなって
トイレに入る。
んあぁぁっ!
トイレに入った瞬間
アタシの膣から卵が
飛び出した。
そして床を1回跳ねて
アタシの手の中に収まった。
嘘…
アタシたち人食い妖怪は
赤ちゃんぢゃなくて卵を産む。
そうしてその卵を
大事に温めると
だんだん卵が大きくなって
子どもが生まれてくる。
その卵の殻の色は
相手の妖怪によって違くて
人食い妖怪同士だと
白くてつるつるした殻。
そしてこの卵の殻は…
濁った青…
オクターの子だ。
アタシは自然と泣いていた。
オクターの子なんて欲しくない。
この卵を食べてしまえば
無かったことにできる。
人食い妖怪の胃酸が
分解できない物はない。
猛毒だってプラスチックだって
すべて跡形なし。
口に入れようとした瞬間
アタシの母性が手を止める。
ごめんね…ごめんね…
そして口に入れた。
少し生臭い嫌な味。
ごくりと喉を通る。
涙が止まらなかった。