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三日月の夜に

第3章 疑惑

それから1ヶ月近くがたとうとしていた。


花織とはすれ違いの生活だった。


どういうわけかわからないが、公休日には朝から出掛けたり、前夜帰らないままだったりしたし、遅くまで帰ってこなくなった。

星夜はかわりに家事をしながら、ルナと過ごしていた。


この日も、花織は帰ってこなかった。

星夜は誰も待っていないうちに帰ってきたが、すぐに異変を感じた。


窓が、あいている。


身が凍る思いで、ソファに駆け寄ったが、ルナはいなかった。


窓は、間違いなくしめて行ったはずだ。

朝出勤する時、花織はうちにいなかった。

彼女が一度帰ってきて、窓をあけてまた出て行ったのか?

何のために?


いや、まさか、そんなはずはない。


荒らされた様子はないので、空き巣でもなさそうだ。

星夜ははだしのまま、あいている窓から庭に出た。

植木が、揺れた。

「ルナ…?そこにいるのか………?」

星夜はささやいて、そっと植木に近寄った。

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