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三日月の夜に

第1章 猫がきた。

はじめは、疲れているのだろうと思った。

次第に、体調が悪いのではないかと心配になった。


しかしたずねてみても、別に何でもないと素っ気なく言われるだけで、何かがおかしいと思い始めた。


こんな暗い性格のつまらない男に、さすがに嫌気がさしたのではないだろうか。


星夜はだんだん不安になってきた。


花織のことだ。

いくつになっても、男はよってくるだろう。


積極的で行動力のある花織だから、いつ離婚を決意し新しい人生を始める気になっても不思議はないし、それでも彼女は幸せになるだろう。


なぜか、そう考えても悲しくはならない自分がいることには、気付かないふりをしていた。

愛する妻に捨てられると思ったら、もっと悲しくなるものではないのだろうか。

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