
許嫁から始まる恋
第1章 EPISODE #1
「小春、なにか言った?」
私の前に座る兎は鞄を机に置き、
私を見ながら椅子に座る。
「べーつにー」
机に肘を置いて頬を支え、窓の外を見る。
窓の外には、未来先生と鮫島 遙が
校門を閉めて校舎へと向かう姿。
未来先生は笑顔で話しかけてる
みたいだけど、鮫島 遙は愛想笑いだな。
二人の姿が見えなくなると、目の前に
居座っている鞄に目をやる。
私はもう一度、ため息をして
机の横についてる取手に鞄をかける。
チャイムが鳴ると、窓の近くに居た女生徒は
バタバタと足音を発て、席に着く。
すると、タイミング良く教室の扉が開く。
