
許嫁から始まる恋
第8章 EPISODE #8
扉の向こうで、冬馬の声。
私待ちだ。
私は黒い細ゴムで髪を2つに結ぶ。
そして、姿見鏡で最終チェックをして
部屋を出る。
「あれ?先行ったの、かな…」
私は扉を閉めて、階段を降り玄関に
向かう。
茶色のローファーを履いて、玄関を開けると
自転車のタイヤに空気を入れている
冬馬の姿。
私は玄関を閉め、鍵をする。
「小春、いいよ」
冬馬を見ると、自転車のサドルに座り
私を待っている。
私は急いで自転車の荷台に座る。
私が乗ったのを確認して、
自転車を走らせる。
「ねぇ、冬馬。」
「あ?」
