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それでも、私は生きてきた

第53章 教えて

拓也の車の中は、
いつも私の空間だった。
決して無口な人では無いけど、
いつもベラベラと話し続けるのは私で
うんうん。あー。そうかー。
相槌を打つのは拓也の役目で。

何を溜めてるわけでも無いのに、
いつも拓也の車の中は私の無駄なトークが何時間も続いて行く。

拓也に、どうしても会って聞きたい事があった。
どうしても。
どうしても、聞かなきゃいけない。


何度かSNSでメールしたんだけど、なんで?


うん…


なんで何も返事なかったの?


いや、
ユリの母ちゃんから、それがユリの為だからって言われたから。


それだけ?

うん。



しばらく無言のまま、
拓也は運転を続けた。




そこから、私の記憶は途切れつつある。

何処から話し始めたのか思い出せない。

ただ。
実家を離れてからココまで生き抜いて来た苦しみを、ただ、ひたすら拓也にぶつけていた。

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