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それでも、私は生きてきた

第55章 シ・ニ・タ・イ

糸が切れたような感覚。

ピンと張り詰めたピアノ線がブツッ…と
音を立てて切れてしまったような感覚。


頭の中に浮かんでは消える
繰り返し浮かび上がり心をかすめる
一つの言葉の配列をボンヤリと感じていた。


シニタイ。
シ・ニ・タ・イ…



ドクドクと涙が溢れ
あっとゆう間に枕を濡らす。

スヤスヤ寝息を立てて背中に寄り添う祖母の温もりも、
ひと時の幻想になってしまう気がして怖かった。


この真っ暗な闇の世界が
姿を隠す頃には、
私は再び彷徨い続ける事になる。

行き先はあるものの、
私の居場所は何処なのか。

長年、
支えにしてきた姿も

跡形もなく崩れ去った今。



私は…

生きる必要があるの?

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