無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

祖母と叔父が外まで出てくれた。

母の助手席に乗り込み、窓を開けて
祖母と叔父に手を出すと、
それぞれ手を握ってくれた。

祖母も叔父も。
母も私も。

昔のように、
すぐ近くに帰る時のように。

また来んしゃい。

またね〜！


手を振り、笑顔のままに
昔のままに…。



車が走り出し、
祖母と叔父が見えなくなった瞬間。

窓側に顔を向けたまま、口元をグッと手で抑えた。



どうだった〜？ゆっくり寝れた？


………。


ゆり…？




母の問いかけを無視するつもりで無言になったわけではなかった。

込み上げてくる涙を必死に堪えるには、
口を開く事が出来なかった。


ゆり…お母さん何かしちゃった…？


不安そうな母に、何か答えなければ。
と思いつつも、言葉を発する唇はプルプルと震え出し、
言葉の代わりに
瞳から大粒の涙をぽろぽろとこぼした。

涙を
母に見られないようにと。

口を塞いでいた手を持ち上げた瞬間。


ふぇっ…ひっく…


溢れ出した涙に合わせて
泣き声が漏れた。


ゆりぃ…うぅ…ゆり、お母さんも泣く


運転中の母は、
視界が見えているのだろうか。と
不安になるほど、
一瞬で涙をこぼし始めた。