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それでも、私は生きてきた

第1章 記憶にあるパパとママ

小学5年生。

担任の先生がクラスの皆にお話があります。
と、言った。

お友達のユリちゃんは、片耳が聞こえないことが検査でわかりました。みなさん、気遣いましょう。


物心ついた頃から、右側から話しかけられるのが嫌いだった。
友達や親の言葉を聞き取れない。

母親には何度も訴えたし、
何度も耳鼻科で検査を行ってきた。
検査法に誤りがあったのか、
これまで発覚しなかった。


先天性難聴障害

父が、
私の難聴を知った時
酷く落ち込んだ。

父は、学生時代
片耳の鼓膜を破っている。


俺のせいか…
俺の遺伝か…


酷く落ち込む父に向かって
母が言った。

ユリはかわいそうな子。


かわいそう…
かわいそう…

母はいつも言う。

お姉ちゃんに比べて、
あんたはトロくさい。かわいそうに…。
算数も出来ないの?かわいそう…。


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