抱かれる日々
第9章 歌声と音色
不思議そうな顔をしながらもピックを手に持ちギターを演奏し始める
歌声が入ると2つの音色が重なり綺麗なハーモニーになっており聞き入ってしまう。
でもやっぱり聞いた事ある気がする
だけどあたしが聞いた事あるような音はキーがもう少し低かった
演奏が終わると顔を上げニコッと笑顔を見せてきた
「素晴らしいですね」
「だったら笑顔見せてよ」
口角を上げて笑顔を作ってみた
「本当に表情を変えるのが不器用みたいだね」
あたしはこの2年間無表情以外自分で見た事がない
きっと酷い顔をしているに違いない
「部屋に戻ります」
「ねえ今度デートしない?」
ニコッと自然に笑顔を見せてくる
自然に微笑むのが好きな人だ。
「あたしは喜怒哀楽を感じない人間なので結構です」
ーパタンー