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Pour mon cher -涙の先に-

第56章 聖なる夜と指輪とストラップ

だけど。



この気持ちはこのまま飲み込もう。


・・今までずっと傍に居てくれた先輩の手を私は離せない。


ずっと優しく包んでくれた先輩を・・・私は離れちゃいけない。





ぐっと溢れる涙を拭ぐ。



鏡の前で、ニコリ。


笑顔の練習をして。





よしっ!!!






「すみませんでした!!」



近くの壁に寄り縋って腕を組んで立ってる先輩の元に笑顔で駆け寄る。



「大丈夫なの?」



心配そうに顔を覗き込む先輩に、チクリと胸が痛みつつ



「もう大丈夫です!すみませんでした」



必死に笑顔を作って謝る。


先輩はふわりと笑っていつものように優しく私の頭を撫でて



「謝る必要はないんだよ」



そう言って“行こっか”とまた、私の手を握り歩き始めた。








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