
職業、遊び人ですが?
第1章 女勇者と遊び人
「ちーす。ゼックスです」
店員の前にはゼックスと名乗った男とラルー。青い目が特徴的で肩まで伸ばした銀と黒のツートンにピアス。端正な顔立ちで女パーティーがあれば、飛びついてくるのは間違いない。
だが、ゼックスはラルーの肩を抱きながら胸を揉んでいた。
元々、露出癖のあるラルー。いつものように無防備な薄着であったが、ゼックスの手は服の上からではなく、肌の温もりを感じれるであろう胸を揉んでいた。よく見れば、何かを摘まんでいるようにも見えた。
「さーて、続きをしようか。俺たちの愛の巣はどっこだーい?」
言葉の重みなど感じれないほどゼックスの言葉は軽かった。だが、ラルーは頬を赤らめて奥の空き部屋を指差した。
店員は何かの間違いかと思った。あんなチャラい男がラルー酒場在籍になるはずがない。そう思い込んでいたが、酒場本部から履歴書が届き、ゼックスの経歴に言葉を失った。
「…嘘だろ」
【ゼックス】
職 業:遊び人
レベル:86(転職回数0回)
スキル:S(1)A(4)B(9)C下(79)
スキルランクSなどは職業マスターしてから得られるものである。遊び人のものがどの程度か知らないが、レベル150から職業マスターといわれている為、全体という男はものすごい掘り出し物ではないかと店員は履歴書の次のページをめくった。
「すごいぞ! あの男すごいぞ!」
ゼックスの元いたパーティー【ヤッポイ】。パーティーランクAの有名パーティーである。正統派冒険で名声を得ており、雑誌の特集では入ってみたいパーティートップ10常連である。
「ラルーさんは演じてるだけなんだ」
そう解釈した。だが、店員の都合のよい解釈は数日後に脆くも崩れさってしまうのであった。
