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理想と偽装の向こう側

第21章 逆転

「香織ん…。」



「何…。」



小田切さんは、思い詰めた顔で、私の両手をにぎって手首の痣をジッ見る。



「小田切さん…。」



どうしよう…小田切さんは悪くない。



すると、また痣に唇が触れる。



「あっ…どうしたの…。」



手首ごと咥えてしまう様に口を開き、舌が這っていくのが分かる。



「はっ…。」



いつもより明らかに激しい様子に、身体がゾクゾクし始める。



小田切さんを見ると、眼を瞑って手首から肘の方へと、腕を伝っていく。 



クラクラする…小田切さんの中で、何かバランスを崩したのかもしれない。



このままだと…どうなっていくんだろうか。



ただ腕だけなのに、凄い感じてしまう。


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