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理想と偽装の向こう側

第22章 約束

作ってもらった朝食を食べながら、正面で新聞を読んでる小田切さんをチラ見する。



袖にラインの入ったシャツに、紺青のネクタイがとても似合ってる。



サイフォンからコーヒーを淹れてカップを置くと。



「ありがとう。」



ニッコリと、いつもの笑顔。



カップを持つ指は、長くて細過ぎず綺麗…。



余りにもいつもと変わらない朝に、昨晩の事は夢だったのかもしれないと思ってしまう。



カップに触れる唇が、その指が…自分の至る処に触れたんだと思うと…顔が熱くなる。



「香織ん…どうしたの?」



赤くなってたのがバレたのか心配された。



「あっ…今日行きたかったレストラン…予約忘れちゃって…。」



小田切さんは、優しく笑いながら



「じゃあ、いつもの居酒屋にしようか。」



「あっ…うん。」



そんな訳で、告ってしまったら高級レストランから居酒屋に変更になってしまった。


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