テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第22章 約束

日曜日

私は白い花とお線香を持って、墓石に水を掛けてる小田切さんの背中を見詰めていた。



「香織!」



振り向いた彼に微笑んで、お花を活けて、お線香に火を着ける。



二人で横にならんで座って、手を合わせ…光花さんに挨拶をする。



心の中で、いっぱいお礼と決意を述べる。



貴女が守った、小田切さんの未来を幸せに出来る様…一緒に歩ませて下さい…。



チラリと横目に、彼を見る。



綺麗な横顔は瞳を閉じて、真剣に光花さんに伝えてる様に見えた。



長いこと祈ってた小田切さんの眼が開き、こっちを見る。



「香織…行こうか。」



「うん!」



私たちは立ち上がり、空いた手を自然と繋ぐ。



「志信…光花さんに会わせてくれてありがとう。」



「あぁ…俺こそ、有難う。一緒に来れて良かったよ。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ