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理想と偽装の向こう側

第22章 約束

「香織が、胃痛で倒れた時…本当に、気が気じゃなかったよ…。」



泣きそうなくらい、切ない表情になる。



「ごめんなさい…。」



そんなに、心配してくれてたんだ…。



「君まで失ったら、生きていける自信なんて…ないよ…。」



「志信…。」



こんなに、想ってくれてたんだ…。



目頭が、熱くなって泣きたくなった。



「ごめんね…私が、フラフラしてたから。」



「ふっ…仕方ないよ…俺の気持ちを知ってるわけじゃないし…。万が一の時、傷つかないように、心の片隅に諦める準備だってしてたしね。」



至近距離で微笑みながら、目元を親指で拭ってくれ



「万が一…諦める準備…?」



「嘉之のところに戻る可能性だって、あったからさ。」



ガーン!!



「えっ!ないないっ!」



「本当に?言い切れる?6年の重みは、嘉之から感じたよ。本当にあいつ必死だったからね…。」



「あ…それは。」

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