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理想と偽装の向こう側

第9章 衝動と不安

黎子と別れてから、携帯を確認する。


『須永嘉之 080…』


交換した連絡先。


特に連絡は、来ていない。


二年間の努力が、一気に実った…と、思った。


『お互いの気持ち』


多分、私の気持ちには気付いているだろうな。


メールしてみようと思ったが、さっきの黎子の言葉が引っ掛かってしまった。


「で、でも、せっかく連絡先交換したのに、待つのもなんだよね!」


自分を励まして、メールを作成する。


…なんて、送ろう…。


色んなことを考え始めてしまい、言葉が思いつかない。


ここは無難に…


『お疲れ様です。渡辺です。昨日は、楽しかったです。』


…楽しかった…って、昨晩のことを思い出す度、照れ臭くなるしな。


『一緒に居られて、嬉しかったです。体調に気を付けて下さいね。また連絡します。』


こんな感じで、いいかな?
送信…っと。



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