テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

私は、床に座り嘉之の寝顔を眺めていた。



ただでさえ細めなのに、顔が一段とシャーブになってしまってる。



高くはないけど、筋が通った鼻先を人差し指で押さえてみた。



「ぷっ…。」



こんなことしたの初めてかも。



お気に入りの真っ黒な髪…前髪を払うとサラサラ落ちる。



「あっ、剃り残し。」



顎にちょこっと残った髭を発見しワクワクした。



そういえば…今日は、キスもしてないや…。



でも、毎回身体を繋げるより、こんな日もいいなぁ~と思う。



一緒に住めたら、こんな毎日になるのかもしれない。
いつか、そんな日が来るといいな…。



「帰ろっと!」



『今日は、帰るね。鍵はドアポケットに入れたよ。』



メモを書き残して、私は部屋を出た。 



いい夢、見れますように…。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ