テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

会食の日。

場所は、余り敷居の高くない、日本料理屋になった。
部屋も取れるし、無難であろう。



最初は、各社ごと固まって座るが、後でお酌に回るから席は、あってないようなものだ。 



嘉之の近くに座れたらいいなぁ~と思いつつ、結局かなり離れてしまった。



チラリと見やると、口角を少しあげて笑い返してくれた。



きゃっ!好き!



「ここいいかな?」



声が降ってきたので見上げると、梶さんだった。



「お疲れ様です!どうぞ!どうぞ!」



「歓迎されてて、嬉しいですね。」



梶さんは上品な物腰で、笑い掛ける。



久々にダンディーな人に、会ったな~。



会食が始まり、乾杯から少し経つと、挨拶がてらのお酌に回る。



「渡辺さん、本当に頑張ってるね!最後まで宜しく頼むな!」
「お疲れ様~!自分も飲みなさい!」



アチコチから労って貰って、嬉しくなった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ