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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

黎子の家からの帰り道をトボトボ歩きながら、改めて考えさせられた。



黎子は、私と嘉之の6年間を知っているからこそ、私の性格も踏まえて、小田切さんへの後押しをしてくれてるのを実感する。 



辛口だけどね…真剣に考えくれる親友の友情に感謝した。



でも…本当にこれでいいのかな…。



私も体当たりで嘉之に向き合わず、逃げたんじゃないだろうか…。



6年間、嘉之が幸せになって欲しいと願っておきながら、一番裏切ったのは私じゃないのかとさえ思ってくる…。



例え…誰かと結婚したとしても、色んな苦労は付きまとう訳だし…嘉之のこともそう思うと、若気の至りで小さいことだったんじゃない…。



『ずっと俺だけ見てるんじゃなかったのかよ!』
『見守っててあげて…。』



その言葉が呪縛の様に、私の偽善を縛り上げる…。



あぁ…大嫌いになれたらいいのに…。



離れたら理由が理由だけに、中途半端で煮え切らない。



でも…限界だったんだ…。



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