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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

もしかしたら、小田切さんは私が先週、寂しい思いしてたから和ませてくれてるのかもしれない…。



けど…私の傾き始めてる気持ちまでは、知らないからこんな事出来るんだろう。
なんか今日は、立て続けだな…。



どっちに対しても、中途半端なことしてると、こういう目にあっていく。 
これが、いつまで続くんだろう…。



悶々としていると、耳元で小田切んの声が響いた。



「香織ん~次、観る?」



顔も密着に近いし、右手も握られたままだし…もう、無理っ!!



「ごめんなさい…何か疲れたので…寝ます…。」



「そっか~無理させちゃったかな?じゃあ明日、観よっか。」



「はい…そうします。」



私が、離れようとしたら



「香織ん、本当に大丈夫?」



心配そうに私の顔を覗きこんでくるもんだから、小田切さんの顔がドアップになる。 



ご勘弁を!



「か…あっ…はい!大丈夫です!!」



私はフラフラ立ち上がり、部屋に向かうが、足元が覚束なく転けそうだった。



「わっ!香織ん!」



小田切さんが、咄嗟に抱きかかえてくれたが、私はもういっぱいいっぱいで、このまま埋もれてしまいたかった…。



こんなんで、同棲続けられるのかな…?




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