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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

「…小田切さん…。」



「ん?どうしたの食べよう~。」
「はい…。」



担々麺風のお汁が絡まり、つけ麺は凄く美味しいが、私の心は重たかった。



「小田切さん…明日お昼ちょっと用事があるので、出かけるね。夕方までには戻るから…。」



「うん!分かったよ。じゃあ、明日の夕飯は外に食べに行こっか!」
「うん…。」



小田切さんは、優しく私の頭をポンポンと、撫でてくれた。



◎ ◎ ◎ ◎

お昼の後は、小田切さんが借りてきたもう一本のDVDのを観た。



昨日みたいな態勢に成らずに済んで、いつものようにソファーを背に隣り同士に座っているのだけど、小田切さんの左手が私の右手をずっと握っている。



なんだろう…やっぱり先週言った

『小田切さんに、もう会えないのかなって…。』
を気にしているのかな…。



でも…嬉しく思う。
明日のことを考えると不安が募るから、今だけでも穏やかでいたい…。



つい私は、右手に少し力を入れてしまった。




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