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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

目についた服を、当ててみた。



「ほらっ!いいよ~。」
「まあ、値段も手頃なんだな。」



「アウトレットだからね。」



思わず、話が弾んでいる。



あれ?さっきまで、決別話をしようとしてたのに、なに仲良く洋服見てるんだ…。 
いかん!流されたら、このままレッツイタリア~ナだ!



「香織、あそこ行こう!」
「わっ!えっ…。」



手をグイッと引っ張られていく。
連れてこられたのは、カジュアルなアクセサリー売り場だった。



カウンターに居る美人の店員がニッコリ微笑む。



「いらっしゃいませ!何かお探しですか?お気に召したのがありましたら、出しますので~!」



「は、はい!」



出されても、買えないし!なのに嘉之は、



「香織、誕生日8月だったよな。」
「あっ…うん。」



誕生日なんて、まともにお祝いしてくれたことないのに一応覚えてはいたんだ…。



「じゃあ…ペリドット?」
「へ?何が!」



「誕生石…すみません!これ下さい!」



美人店員さんは居酒屋ばりに



「はい~!有難うございます~!」



「えっ!いきなり!ちょっといいよ!高いし!」



「高いのは、無理!7号だろ?」



「そうだけどさ…。」



「あっ、着けてきますから、箱だけ下さい!」
「はぁ~!?」



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