テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第13章 対決

嘉之は、片足を床に着け身体を起こし、茫然と空を見据える。



私は身体を退かし、息を整えながら



「ずっとどう思われてるか分からなくて…身体は繋がってたから、心もいつかは繋がっていけると信じてた…でも…。」



「な…に?」



涙が一気に溢れだす。



「…私は、嘉之の家族にしてもらえないと思った…。」



一瞬に崩れ落ちた、信頼と希望…。 



「違う…だろ…。何でそうなるんだよ。」



嘉之の視線は動かない。



「だから…イタリアも行かない…一緒に住めない…。」



「黙れ…。」



「もう…会えない…。」



「黙れよっ!!何勝手言ってんだよ!これから…っ」



私は指輪を外し、テーブルに置いた。



「…ありがとう…サヨナラ…。」
「香…。」



私は、飛び出す様にマンションを出た…。



走りながら涙が、止まらなかった。



本当に、大好きだった…。
愛してた…。



でも…私も愛されたかった…。



ごめんね…嘉之…。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ