テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「ありがとう…。」



ビールの缶を受け取り、プルトップに指を掛ける。



「プシュ!」



軽快に炭酸が抜ける音が、幸せに感じた。



まさか…数時間前までこんな展開になるなんて思ってなかったな。



一口含むビールの喉ごしが、こんなにも落ち着くのかとさえ思う。



「あ~!生きてるって感じっ!」



「…そう、だね。」



小田切さんは、自嘲的に微笑んだ。



疲れてるのに悪かったかな…自分のことしか考えてなかったかも。



「疲れてるのに…ごめんなさい…。飲んだら戻るね。」



だから…これ飲む間は、小田切さんの側にいさせて…。



「大丈夫だよ…。嘉之、明日はどう出てくるか考えてたんだ。」



「あっ…。」



そうだよね…これで引き下がる訳じゃない。



「香織ん…。」



「はい?」



「おいで…。」



ドキーンッ!! 



ベッドに腰掛けながら、小田切さんは私を呼んだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ