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理想と偽装の向こう側

第15章 発動

「う…ん…。」


心地よい眠りから起きるのが勿体無くて、布団に再度潜り込みたくなる。 



「香織ん、起きた?」



小田切さんの声に、スイッチが入った。
朝だ!



「おはよう~。」
「おはよう…。」



小田切さんは、ネクタイをしながら



「朝食バイキング行く?昨日、余り食べてないから、お腹空いたんじゃない?」



言われてみれば…。



「はい…。」



「じゃあ、先に行ってるから準備しておいで。」
「うん…。」



そうだ、ここは小田切さんが取った部屋だった。



私、あのまま寝ちゃったよ…。



ベッド、シングルサイズだから狭かったよね。



自己嫌悪に落ちてると



「大丈夫だよ…。」
「え…。」



…私の心、読みましたか?



小田切さんは、真剣な顔で



「何もしてないから!」



指を立てた…。


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