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理想と偽装の向こう側

第15章 発動

仕事が終わると、急いで帰る為に早足気味になる。



とにかく、薬局に行って検査薬を買ったら、駅ビルでもコンビニでもいいから駆け込もう。 



電車を降りて、改札を出て、階段を降りようとした時…



「香織んっ!」



あ…。



「小田切さん!」



「同じ電車だったのかな~!凄いタイミングぅ~!」



笑いながら、声をかけてきた。



「本当に…凄いね。」



本当に…タイミングが良いのか…悪いのか…。



「香織ん、凄い急いで行こうとしてるんだもん。毎回そんな急いで帰ってたの?」



優しく笑いながら、私の顔を覗きこむ。



「う…ん。」



確かに毎回、ダッシュしてましたよ。



「そっか~!香織ん、可愛いね!」



へ…可愛い…?



「えぇっ!何で!?」



ピンポンダッシュで帰って来い言ったの小田切さんなのに~!



「子どもみたいに、一生懸命だね!」



「そんなこと…ないですよ…。」



子どもって言うより、餌にまっしぐらな犬みたいだな…。



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