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理想と偽装の向こう側

第18章 永久と再会

「今晩、飲みに行くか?」



少し考えてから、誘いを受けた。



「あぁ…宜しく…。」



滝島には、事情を聞いてもらいたかった。



身内以外で、光花の幸せを願っていてくれてたから。



****

仕事が終わり、お互いの駅に近い場所で降りて、居酒屋に入る。 



職場の近くだと、誰かに会ったら面倒だと思ったからだ。



滝島はメニューを見ながら



「何する?」



「焼酎かな…。」



「じゃあ~俺も~!すみませ~ん!」



店員さんに、焼酎2つと、軽めなメニューを選んで頼む。



焼酎が運ばれて、滝島は早々に一口飲んだ。



乾杯はしない。



「あの…バグった日か?」



「ああ…。タクシー飛ばしたけど、死に目には間に合わなくて…。」



「そっか…。あの時行かせとけば良かったな…。」



自分を責めるなと言っておきながら、滝島自身も自責の念にかられてしまったんだろう…。



俺も一口焼酎を口に付け、



「いや…早く携帯の着信に気付けば…。バグった処理とは、関係ない。」



「穏やか…だったか?」



その言葉に瞬間…見えた傷を思い出す。



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