優しくしないで
第16章 私の一部
仁さんは、少し微笑み…私の髪を…切って行く…
でも…なんだか…
悪くない…
『仁さん…私…高校卒業したら…
就職…しようかと思って…』
チョキン……
「…就職…?…留美ちゃ…ん…」
鏡ごしの仁さんが…驚き…ハサミの動きが止まった…
「留美ちゃん…陸上…」
『…両親にも言われた…
“大丈夫”って…言ったよ…
でも……
大丈夫なんか…
じゃない……よね…
太一が最後まで…
優しくしなかったのも…
私の陸上に対する思いを知っているからだったし…』
自然と…
下唇を噛んでしまう…
チョキン――――…
仁さんの…
ハサミが…動き出した…
「…太一君の…思いは…」
チョキン―――――…
『……妹がね…』
私は…妹の血液の件…医学部の件…
あの怪我で…“ありがとう”と言われた件…
仁さんのハサミで…
どんどん軽くなる髪…
どんどん……
太一への思い、
後悔…
罪…
太一の…優しくない
優しさ……
軽くなる度に…
私の中に染みて…
すべてが…
私の一部となる
『……私は…太一の思いも
抱きしめて…就職を決めたの…』
でも…なんだか…
悪くない…
『仁さん…私…高校卒業したら…
就職…しようかと思って…』
チョキン……
「…就職…?…留美ちゃ…ん…」
鏡ごしの仁さんが…驚き…ハサミの動きが止まった…
「留美ちゃん…陸上…」
『…両親にも言われた…
“大丈夫”って…言ったよ…
でも……
大丈夫なんか…
じゃない……よね…
太一が最後まで…
優しくしなかったのも…
私の陸上に対する思いを知っているからだったし…』
自然と…
下唇を噛んでしまう…
チョキン――――…
仁さんの…
ハサミが…動き出した…
「…太一君の…思いは…」
チョキン―――――…
『……妹がね…』
私は…妹の血液の件…医学部の件…
あの怪我で…“ありがとう”と言われた件…
仁さんのハサミで…
どんどん軽くなる髪…
どんどん……
太一への思い、
後悔…
罪…
太一の…優しくない
優しさ……
軽くなる度に…
私の中に染みて…
すべてが…
私の一部となる
『……私は…太一の思いも
抱きしめて…就職を決めたの…』