優しくしないで
第19章 遺品…
ピロロ…ピロロ…
その日……
太一兄、光一さんから電話が来た…
遺品を…渡したいって……
あの日から二ヶ月…
私はまた、あの屋上に来た…
「やぁ…留美ちゃん、久しぶり…」
『…光一さん…
アドレス……よく解りましたね』
フェンスに寄り掛かり、タバコを吸いながら…
ポケットから携帯を取り出した…
太一の……携帯……
ザワ…っと…してしまった…
「…両親も、やっと気持ちの整理がついて来たから…
太一の荷物…片付ける事にしたんだ…
…で、…携帯出て来さ…
解約してたけど…履歴とか…
見ちまった…
なんだか…太一の事…知りたくなってさ」
タバコの煙りは…風で直ぐに流れる…
私の手にもつ花束も…風でカサカサと音を立てる…
「……最後のメール…
留美ちゃん…だし……。
彼女と別れ話しのメールとか…
太一の気持ちとか…ガッツリ見てちゃってさ…
見なきゃ…よかったかな〜とか…後悔したり…してた」