優しくしないで
第21章 宝物
私は玄関を開け…
走り出した……
アキレス腱がピリッとしたが……
走りたかった…
そして――――――!!!
『!!!仁さん!!!いますか!!!』
まだ営業中の美容室の…扉を開けた!!!
「あっ…今、雑用で…スタッフ…留美ちゃん!!!」
大さんの言葉を最後まで聞かず!!!
私はスタッフルームに走った!!!
『仁さん!!!』
「おっ!!!え?留美ちゃん?」
私は…仁さんの姿を見つけると…
胸に飛び込んだ――――!!!
「!!!え!!!おおお?」
『!!!採用です!!!岩風に!!!採用です!!!
私!!!太一のシューズに…関われる!!!採用です!!!』
「え!!!ほんと?!
やった――――――――!!!」
私達は…スタッフルームで大声で喜んだ!!!
「え!!!留美ちゃん!!!採用!!!?ヤッター!!!」
ホールまで聞こえていた声で!!!
スタッフ皆が…喜んでくれた!!!
たまたまいた…お客様も…
拍手してくれていた…
仁さんは…ギュッと私を抱きしめて!!!
おめでとう、と何度もつぶやいてくれた…
私の中に……
宝物が…増えていく…
太一…
静…
家族…
美容室…
シューズ…
採用通知…
仁さん……
私は…仁さんの腕の中で…
優しさと…安心と…
強さを……知った…
仁さん……
仁さん…
仁さん……