優しくしないで
第28章 歩こう…
「…俺は……
死ぬべきじゃ……なかったのかな?」
太一……
「…今更…だよな…」
太一……バカ…
「留美……
10年…30年…
50年先に――――…俺の答えが…有るのかもしれないな…
未来は……誰にも解らない…
でも…変える事ができるなら…
留美……お前は…
強く…なってるよ――…」
太一の…バカ…バカ…バカ…
「バカって…何だよ…」
バ……カ……
「留美……幸せになれよ…」
―――――――――バカ…
私は……ロビーで……
泣き…崩れた――――…
『バカ…バカ…バカ…』
仁さんは……私をゆっくり抱きしめてくれた……
『仁さん……
仁さんの未来は……どう?』
仁さんは…私の頬を手で包み…
流れる涙を親指で拭う…
「…あの選択をしたから…
留美ちゃんに会えた…
留美ちゃんに…優しくなろうって決めれた…
留美ちゃんを支え…守りたいと…思った…」
見つめる仁さんの瞳には…私が映る……