優しくしないで
第28章 歩こう…
―――――……
夢…を…見ている―――…
太一が……
太一が笑いながら……
前を歩く―――――…
『………太一……
………どこ行くの?』
「ん〜…俺にも…解んね〜んだよ…」
『……不安じゃない?』
「不安か……
それは…ないな………」
太一は笑って…前を歩く…
『……私……
一緒じゃなくて…いいかな?』
少し…胸が…チクリとした…
「…バーカ…
ついて来るなよ…。
あいつが心配するだろ?」
『あいつ…?』
「…留美の手――――…
繋いでる奴だよ――――」
左手を見ると………
仁さんが……キュッと…
手を繋いでいた…
『…仁さん……』
「……まっ…当分は…
留美の記憶…思い出…罪悪感…
色んな形で存在するけどさ…
気にするな…
気にするなって言っても…留美は…バカだからなぁ…
おい!シャンプー野郎!
留美を…頼むな―――――…
優しくしろよ――――…」
「ああ…頑張るよ…」
太一は……手を振り
先に―――――進んで行った…
私は……繋がれた…仁さんの手を…
強く握り締めた――――…
『……太一……
………………ありがとう』