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優しくしないで

第9章 古傷

留美ちゃんを家まで送り
来た道を戻る……


彼女の温もりが消えるころ…



足が止まった




足が…前に進まなかった




「くそ…」



立ち止まり、留美ちゃんを支えていた両手を見る



微かに震えていた…





「震えんのかよ…俺…」



指先がプルプルと…震える







太一…っつたっけ…








お前は全部抱えて…

死を選んだ









少し…解る気がした…






俺は…

好きな女に…

逃げ場を作ってやれなかった男だから







俺が選ばなかった選択を…


太一は選び…


罪悪感、正義感、背徳感……もろもろ


抱えきれず…………か…?






「死んだら…誰も…報われないじゃないか…」







俺は…


何故…留美ちゃんが気になったか…


理由が…



解ってしまった…



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