私はあなたを許さない
第6章 「私と一緒だから」
希「…?」
雨が降りしきる
ある学校帰り、私は彼に出会った
彼という表現は少し間違っている気がし
たけど
男の子だから
彼って表現でいいよね
希「誰か拾ってください、か…」
目の前には
定番のように箱に入れられ
拾われるのを待っている小さな仔犬
雨に濡れ毛はばさばさで体はガタガタと
震えていた
仔犬「クゥ…」
希「…」
仔犬を拾ってあげたい
こんな雨の中、知らんぷりして置いてく
事は出来ない
けど…
希「ごめんね…私も居候だから…」
仔犬「クゥ…」
希「…ごめんね」
これ以上
仔犬が濡れないよう
希は自分の傘を仔犬に貸してあげると
家に向かってゆっくり歩き出した
でも…
希「…」