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5つの小さな恋の唄

第1章 『two』主演*大野智*

行為が終わったあとも、服も着ずに裸で抱き合った。

「もう少しだけでいいから…こうさせて?」

俺の最後のわがままだった。

急に涙が溢れてきた。

「何でっ…俺の方が絶対…沙那江を愛してるのにっ!守ってやれなくてごめん…ごめんな……」

「私こそ、智の愛に応えてあげられなくて…」

「うぅっ…沙那江っ」

「さとし…」

ふたりで抱き合って泣いた。

涙が枯れるまで泣いた。

沙那江にも、きっと色々想うことがあったのだろう。

散々泣いて、俺たちはホテルをあとにした。

「ありがとう」

「こちらこそ」

「じゃあ、ここで…」

沙那江の家の前に車を停めた。

「幸せになれよ」

「うん…智もね!」

「おう。じゃあな」

それから俺は車に乗り、しばらく高速道をあてもなく走り続けた…

この夜の想い出が、永遠でありますように…



『two』*END*

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