
チョコレート
第10章 過去
「彩ちゃん、俺のいいとこ言ってみて」
いいとこ?
「えっと、具体的に言ったら…涼くんがいるとすごい楽しい!場の雰囲気が明るくなる。あとは気がまわる。私が捻挫したのも気付いてくれたし、それに陸に連絡までしてくれてたし。陸が涼くんを信用するのもわかる。…それに優しい、わざわざ家まで送ってくれたり、今日も私の事気にかけたりしてくれるし。」
私はまっすぐ前を見ていた
視線を涼くんに一瞬移して続けた
「まぁ、まだ出会って1ヶ月ぐらいだし、他にももっとあると思うけどね」
「…ありがとう」
そう言って涼くんは
ニコッと笑った
でも、どこか違和感のある笑顔
「でも涼くん、最近元気ないよ?私で良かったら話して。あ、言いたくないなら全然…」
「俺この通り大阪出身で、初めて転校したんは小学校卒業した後で千葉に行ってん。あ、話長なるかも…」
「大丈夫。」
私の返事を聞いて
涼くんは話を続けた
「一年経ってまた大阪の同じとこに戻って来たんやけど、中学は小学校からそのまま持ち上がりやから、みんな知ってる人で…俺小学生の時好きな子おってんけど、もちろんその子とも再会してな…すぐ告られたんや。その子に…」
「え、すごい」
「うん、めっちゃ嬉しかった。でも、付き合って3ヶ月ぐらいやったかな…その子理紗(リサ)って言うねんけど、理紗が友達と喋ってんの偶然聞いてもうて…」
「なに話してたの?」
「俺のどこが好きで付き合ったって友達が理紗に聞いててんけど、即答で顔やろ。って答えてた…‘かっこいいから付き合ったに決まってるやん’って…」
ひどい…
