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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

「ありがとう、真戸那。私が愛したのは何もそなたの見かけの美しさや聡明さだけではない。幼い日、露店で買い求めた安物の簪を今でも後生大切にしてくれる―そういう、そなたの心の美しさ、優しさを何より愛したのだ。そのことだけは忘れないで欲しい」
 王は言い終えると、視線を動かし、洞の外を注意深く見つめている。いつしか雨音もすっかり止んでいた。

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