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この前、人を拾いました

第105章 ⑩—5 彼の言葉の真相は




「ごっ…ご無沙汰しておりますっ…西園寺代表…」



慌てて頭を下げた私に、レイに良く似た笑い声が降り掛かる。



「他人行儀だなぁ! 私はもうさきさんの父親なのだから、『おとうさん』と呼んだら良いのに。ハハハハハっ!!!!」



「はっ…はい…」



父親なら、名前を間違えないと思うけど、やたらめったら色んな名前で呼んでくるレイに比べたら、「さき」だと勘違いしているのなんてどうってことない。


同じことを思っているのか、訂正することもしてくれなくなった若村さんは、「ドンマイ」と言わんばかりに私の背中に軽く触れた。



「どうぞ、そこに…」



手前にあった立派なソファーに近付く。



「きゃっ」



腰を掛けると、あまりにフカフカ過ぎて、沈み込んだ私を見て、また西園寺代表が笑う。



「本当にあなたはかわいい人だっ!!!ハハハッハ!! そりゃあ礼二も惚れるわけだなっ!」



「っ………」



かわいいの言い方まで似てるし、恥ずかしくなって俯く。


けれど、それと同時に今のレイとの関係を思い出して、胸が苦しくなった。

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