この前、人を拾いました
第42章 ④―8.5 『ずっと前から、お嬢様にお仕えしております』
「礼二様は、
あの女を、愛しているようね。」
紅茶を飲みながら、静かにそう呟く麗子様。
麗子様という素晴らしい方を望まなくても許嫁としている礼二様が堪らなく憎らしい。
「きっとすぐに、麗子様の美貌に気付かれますよ。」
私は、あなたを愛しています――
届かない想いを心の中で叫びながら、執事としてこたえる。
すると、麗子様は固まったまま、動かなくなった。
どうしたのだろうかと様子を伺っていると、
ゆっくりと顔をあげ、私を見つめた。