この前、人を拾いました
第63章 ⑥―5 10th Birthday
弟、礼二は今もそうだが、昔からよく笑う子だった。
何をさせてもすぐに出来るようになってしまう。
その代わり、熱中してなにかをし続けることはない。
ただ、ひたすらに家の中を走り回り、笑顔を振り撒いては使用人たちの心を和ませる。
西園寺家の光のような存在だった。
父もみんなと同様に、礼二のことをとてもかわいがっていた。
一方、私は西園寺財閥の跡取りとして厳しくしつけられ、自由で責任もないくせに何でも出来る礼二のことをみて、たまに嫉妬することもあった。
でも
礼二が唯一知らないものを
私は知っていた。
何をさせてもすぐに出来るようになってしまう。
その代わり、熱中してなにかをし続けることはない。
ただ、ひたすらに家の中を走り回り、笑顔を振り撒いては使用人たちの心を和ませる。
西園寺家の光のような存在だった。
父もみんなと同様に、礼二のことをとてもかわいがっていた。
一方、私は西園寺財閥の跡取りとして厳しくしつけられ、自由で責任もないくせに何でも出来る礼二のことをみて、たまに嫉妬することもあった。
でも
礼二が唯一知らないものを
私は知っていた。