この前、人を拾いました
第81章 ⑧ー1 いつも突然過ぎて辛い
「ハハハハハハっ!」
本当に幸せそうに笑いますこと。
尊敬しちゃうわ。
約一日前────
珍しく早く仕事が上がった私は、ちょっとご飯豪華にしちゃおうかな、なんてそんなかわいい事を思いながら、買い物を済ませて帰宅した。
鼻歌なんか暢気に歌っちゃいながら、アパートの階段を昇った私。
家の前に見えたイケメンシルエットに、いつも以上の恐怖を覚えた。
『きいちゃんおかえり!!!! 』
外で帰りを待ってるなんて始めての事だ。
そんなにこいつは私が好きか。
なんて事は、巨大なスーツケース2つが目に入っていたから思わなかった。
『いやだ』
聞かれる前に、私はそう言った。
だって、あまりに突然すぎる。
今までだって散々この人の気まぐれにつき合ってきた訳だけど、
今回ばかしは絶対に事が大きい。
それは、スーツケースの大きさが物語っていた。