この前、人を拾いました
第92章 ⑨ー2 もちろん、そんなスムーズにいく訳はなくて
「西園寺…豪華な名前ねぇ…」
「はっ…。『草野』の方がよっぽどいい苗字だっ…」
「お父さん、いくら強がったとしてもそれはないわ…」
「っ……うるさい!お前は黙れ!」
ゆるくお母さんに突っ込まれたのが、恥ずかしかったのか、そっぽを向いたお父さんを見て、私は苦笑いをした。
「大体さっきから、訳の分からん名前で、娘のことを呼びやがって…。
いいか!!!こいつの名前は、『みき』!!!!『みき』だ!!!!」
ありがとうお父さん。
残念ながら、そんな事言っても無駄なんだけどね──…
「みき!!!!!」
「はっはい!!!!」
突然名前を呼ばれて、反射的に涙目になる。