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占いの館【YES∞NO】

第6章 失踪の代償


「千織…今日は何の日か…知ってるか?

俺が…千織に告白した日だ。


そして…今日の朝…



また、千織に告白しようと思ってた日なんだ…」






俺は…カバンからケースを取り出し…


左手に乗せた…





『……保…?』


「……千織…結婚してくれ」




千織は、目を大きく開き…

驚いていた…






『無理…無理だよ…』

「なんで?」

『…胸…無くなったんだよ…
病気だよ…
温泉だって…プールだって…


ウエディングドレスだって…



ましてや…赤ちゃんに…おっぱい…あげられないんだよ…』




千織は…泣きながら、普通にできる事が…できないのだと……




泣きながら…訴えた…




「…そりゃあ…大変だな…

でも……昨日…帰って…


アパートがもぬけの殻の…あの状況からここまで来た俺だ……何だって乗り越えれる…」




俺は確信している…

千織の残された左の乳房は大丈夫だと…



そして…ケースから指輪を取り出し…



千織の左、薬指にゆっくりはめる…





アダム、イブ……



左…だったな…






「これから…俺は…千織の左側に寄り添って生きていくから…大丈夫だ…」








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