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月琴~つきのこと~

第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二

「いやっ、止めて」
 妙乃は夢中で抗った。渾身の力を込めて力いっぱい良人の身体を押しのけた。だが、嘉平太はすかさず逃れようとする妙乃の手を掴み、背後から羽交い締めにした。その手が寝衣の帯にかかり、今にも解かれようとしたその時。
「私は姉の身代わりではありません!!」
 妙乃が泣きながら叫んだ。
 その言葉で嘉平太の動きが止まった。

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