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月琴~つきのこと~

第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二

 短い沈黙の後、妙乃はか細い声で呟く。
「いえ、多分―、私はあなたにとって姉の身代わりでさえなかったのでしょう。あなたは誰でも良かったのではないですか? 姉でなければ、後はもうどこの誰であろうと、どうでも良いと思っていたのではないですか!?」
 それは哀しい言葉だった。言っている傍から次々に熱い涙の雫が頬をすべり、つたい落ちた。

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