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月琴~つきのこと~

第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二

 それは何と一途な想いだろう! この時、妙乃は負けたと思った。もとより、何においても自分より数段上の姉と競うつもりなぞ毛頭ないけれど、やはり、いつまで経っても、自分は姉には叶わないのだと妙に納得できてしまった。
―姉さま、やっぱり、私は幾つになっても、姉さまには敵(かな)わないみたい。
 心の中で、どこかにいるはずの姉にそっと呼びかけた。

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