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月琴~つきのこと~

第2章 第一話【宵の月】 二

    二

 その翌日。
 小文は許婚者の嘉平太と逢うことになっていた。四条に芝居見物に出かける約束をしていたのだ。心では治助の面影ばかり追っていたけれど、父や家族の手前、常と変わりなくふるまわなければならず、それも小文にとっては苦痛だった。

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