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ツインズ・ラブ

第23章  怒濤の文化祭(Side葉月)

 嫌な予感しかしない。
 智則が何を言い出すのか、気になってしかたない。

 思えば、智則には、悪いことをした。
 それも当然かもしれない。
 だって、俺は、あんなに好きだって言ってくれていた智則に、愛もせず、電話で一方的に別れを告げたのだから。
「気に入らないところがあれば、直すから、だから、別れるなんて、言わないで」
 あのとき、智則は泣いていた。震える声で懸命に別れたくないと智則は訴えたのに、俺は一言でばっさりと断った。
「ムリなんだ。わかってくれ」
 そして、一方的に電話を切った。それから、何度も鳴り止まない電話に嫌気がさして、電源も切った。その後、携帯電話番号やメールアドレスを変え、SNS関係もすべて退会した。
 智則から俺に連絡をとるすべは、なくなった。
 それで終わりだと俺は思っていた。

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